【抄録】
歯周組織再生療法を実践するにあたっては、患者のプラークコントロールの改善状況や全身状態、骨欠損の進行などを鑑み、術者と患者の相互の共通認識の中で、術前より歯周組織の回復がどこまで見込めるかのエンドポイントをしっかりと定めることが大切である。
日本歯周病学会のガイドラインによるとその適応症は、歯周基本治療を行った後も深い歯周ポケットが残存している場合や硬組織・軟組織の形態異常により歯周炎の再発が起こりやすい症例である。
現在では、エナメルマトリックスタンパクもしくはF G F2のどちらかを選択することが多い。この2つのマテリアルは、作用機序の違いから治癒が異なる。いずれを選択するにしても骨欠損形態に応じて戦略を考えることが大切である。進行した骨欠損に対しては、骨補填剤の選択が良好な予後につながる。
昨今では、矯正治療は、成人に用いられることも多くなってきた。進行した歯周病に罹患した歯の矯正治療では、そのタイミングも重要である。
本セッションでは、症例に応じたエンドポイントを定め、歯周組織再生療法の臨床的キーポイントを整理していきたい。