【抄録】
近年のインプラント治療は、前歯部や臼歯部、単独歯欠損や多数歯欠損、骨欠損の有無を問わずインプラント治療を行うことが可能となってきた。このような背景には、フィクスチャーの表面性状の改良による骨伝導能の向上、デジタル技術の進歩、マテリアルの多様化などが挙げられる。しかしながら、それに伴い術者は高度な技術を要求されることとなり、インプラントを埋入するだけでなく、骨造成や結合組織移植を併用した複雑なインプラント手術を行なっているのが日常となっている。それゆえに、患者の治療中の負担や治療後の感染症のリスクも高まっているように感じている。もちろん、インプラントを長期的に安定させるための手法ではあるが、もしこのようなインプラント治療がドクター本位で行われてしまっていては本末転倒となってしまうであろう。
そこで、本セッションでは、2名(飯田吉郎先生、月星太介先生)のインプラントスペシャリストをお招きし”Simple Implant”というワードにまとを絞りディスカッションを繰り広げたいと考えている。実際の臨床で良く遭遇する上顎洞まで距離のない上顎臼歯部欠損症例、骨造成の必要とされる下顎臼歯部欠損症例を提示し、インプラントスペシャリストたちとSimple Implant治療の実際を語ってみたいと考えている。そしてセッションの最後には、前歯部審美領域でのSimple Implant治療について両雄と議論を展開していきたいと考えている。